シンガポール[年金制度と積立制度について]その2

シンガポール

この「CPF(積立金)」には、大きく分けて3つの口座があります。

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1.通常口座(Ordinary Account)
HDBの購入・政府が認可した対象への投資や教育のために使用することが可能です。
例えば、HDB購入の頭金として使用することもできるし、月々の支払いにも使用することが出来ます。
但し、もしHDBを売却した場合、この口座から支払った金額は、売却した時点で普通口座に戻す必要があります。

2.特別口座(Special Account)
退職後の生活を保障するための口座です。
定年退職に備えた金融商品への投資を行ったりも出来ます。

3.医療口座(Medisave Account)
入院費用や一定の医療保険の支払いのための口座になります。
こちらではカバーしきれない高額又は長期の医療費に関しては、政府が提供する医療保険でカバーされます。
風邪などの一般外来や外来処方については、基本的に自己負担になりますが、外来診療の医療費は大抵安く設定されています。
会社によってそれぞれ決まりがあり、高額になりがちな歯医者の治療費などはいくらかは会社が援助してくれます。
因みに、健康な方が医療費で消費しない場合、残高は個人の資産として残るそうです。

 

55歳になると、1の通常口座の資金と2の特別口座の中から、一定額を退職口座(Retirement Account)という新たな口座に移す必要があります。

移す最低金額は決められており、この金額が老後の年金のための資金となります。

これまでは、定められた最低金額を含む退職口座にある残高を、20年間にわたって老後資金として支給されていました。

 

2009年に、毎月決まった金額を生涯受けられる「CPF Life」という新たなプランが創設されています。

2013年以降は、条件を満たす退職者に対しての支払いはこのプランに統一されるとのことです。

そして、これまでは年金の支給を受けられる年齢は62歳でしたが、2018年には65歳に引き上げられるそうです。

因みに、上記の基金の最低利率は2.5%で、3の医療口座及び退職口座に対する利率は4.0%だと言う事です。

退職口座に移した金額以外の、通常口座と特別口座にある残りの資金は、一定限度額まで引き出すことが出来ますが、そのまま口座に残して利息を得ることも可能だそうです。

 

このように日本の年金制度や国民健康保険と大きく違う点は、銀行に預けてある自分のお金と同様に、全て自分が生涯働いて積み立てたお金であるということです。

ですから、現在どれだけ自分の口座にあるのか、どれだけ住宅資金として利用できるのか、どれだけ老後の資金として受け取れるのか、いつでも誰でも知ることが出来るということです。

そして、最低加入期間などの定めはないため、何年積み立てたかではなく、いくら積み立てたかが重要になってくるので、わかりやすいですよね?

 

また、日本の国民健康保険も、例えば東京都だと年間89万円という上限があるとはいえ年収に比例しますから、月に1度行くか行かないという人でも月額数万円も払うのは本当に馬鹿らしく感じますよね~

明らかに税金なのに、税金とは言わずに健康保険と言う…

何だか詐欺にあったような気分になります。

 

シンガポールのこの積立金制度は、日本の年金制度のように、中はブラックボックスでそれから先どうなるか、はっきりしたことは誰にもよくわからない…というわけではないのです。

そしてシンガポールの凄い所は、これらの国民の積み立てたお金を利用して、世界中からヘッドハンティングした選りすぐりのファンドマネージャー達が、ものの見事に高利回りの利益を得ていることです。

 

先日、日本の「年金積立金管理運用独立行政法人」が、平成27年度に5兆3098億円もの赤字を出したと大きく取り上げられていました。

実は、この「年金積立金管理運用独立行政法人」が運用する資金は130兆円という莫大な金額で、世界の年金基金の中でもダントツ1位の資金額だそうです。

その莫大な金額に比べて、投資を行った結果の年金増加率は、他の国の年金基金に比べると驚くぐらいの低さだそうです。

 

選りすぐりのファンドマネージャーを雇うための高給をケチって、手数料を安めにそして安定して運用実績を出すために雇った投資会社や証券会社が出した結果がこれです。

政治家も官僚も、誰もリスクを取りたがらないんでしょう…

反対に、資金を半分ぐらい損したほうが、

慌てて思い切った施策を講じるのかもしれません。

まだ130兆円あるからいいや~、5兆円なんて大した事ないや~、

という感じなのかもしれませんね…

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