ヨーロッパへの移民騒動、ブダペスト駅に難民大集合:その2

ところで、ブダペスト駅に集結している難民ですが、どうして駅周辺にいるかというと…
彼らは、ハンガリーや周辺のポーランドなどには留まろうとは全く考えていないんです。
当然、ドイツなどの豊かな国を目指しています。
難民の方達は、
ドイツが「シリア人を送還することはしない」と宣言し、
シリアからの全ての難民を受け入れてくれる、
という情報を信じているらしいです。
ところが他方では、ドイツ政府は
「既にドイツ国内に滞在している人達を送還しない」と言っているだけで、
「これから来る人達を全面的に歓迎しているわけではない」、
というような情報もあります。
どのような情報が正しいのかは、ネット上のニュースからだけではハッキリしません。
実は、2014年のドイツの難民申請は20万人、2位のスウェーデンは8万人で、ヨーロッパの中でもドイツが突出しています。
因みに、2014年のドイツにおける移民の純流入数(流入数から流出数を差し引いた人数)は、55万人に達したと発表されています。
今年は7月末の時点でドイツの難民申請件数は30万人を超えており、年内に80万人もの難民や移民がドイツに流入するのではとも言われているそうです。
ドイツとしては、もうこれ以上難民を受け入れたくないというのも本音ではないでしょうか?
実際、難民が収容されている施設が軒並み焼かれるなど、移民排斥運動も過熱していて、大きな社会問題にもなっているそうです。
で、どうしてブダペスト駅に難民が集結して、ドイツ行きの列車乗車も許可されていないか?
これには、多数の国に申請する難民申請乱用者を出さないために、難民申請の窓口となる国は常に1カ国のみとする「ダブリン協定(ダブリンⅡ規則)」が大きく関わっています。
難民は、最初にシェンゲン圏に入った国で、難民申請の審査を行わなければならないのです。
そして申請を行った国で合法的に難民に認定されるまで、他の国に移動することは出来ないのです。
つまり、ハンガリーに入国した人はハンガリーで難民申請を行い、ハンガリー内の収容所にて審査結果が出るまで待つ必要があるということです。
ドイツとしては「難民をフリーパスしないで欲しい。難民申請の登録をしていない者をハンガリーから出国させないで欲しい」との立場を取っています。
ハンガリー側としては、いずれにしてもハンガリー国内に留まろうとしていない難民を、さっさと通過させたいところですが、そうは簡単に行きません。
ドイツ以外に移動したくない難民としては、難民申請したら審査結果が出るまで何ヶ月もかかるし、難民として認められてドイツに渡れる確証もない。
となると、そのまま黙って通過してドイツに渡り、そこで難民申請した方が安心だ…
・ドイツとしては、難民申請をして合法的にビザを取得するまで移動させないで欲しい
・ハンガリーとしては、混乱を巻き起こすので早く移動させたいが、こんなに多くの難民の手続きを行うのは困難
難民も嫌がるため手続きもできない状況だし、結果的に駅を封鎖して大混乱
※ハンガリーには、今年に入って14万人もの難民が殺到しているとも言われています。
・難民としては、申請をしてしまったら結果が出るまで何ヶ月もかかるので、申請をしないでそのままドイツに渡りたい
(もしハンガリーで申請してしまったら、ドイツなどに渡った後にまたハンガリーに送還されるのではないかという不安で、申請登録自体を避けているとも考えられます。)
また、難民にとってはEUで定められたルールなどはどうでもいいことで、とにかく早く目的地に移動してなるべく早く普通の生活を取り戻したい。
というような、三者三様の相容れない考えがあって、このような混乱を巻き起こしているのだと思います。
また、ドイツへ移動するには隣のオーストリアを通過する必要があります。
ドイツへ渡るだけではなく、オーストリアを最終目的地にしている難民もいるので、ハンガリーとオーストリア間でも問題になっているわけです。
ここで、ギリシャが「最初に入国したシェンゲン圏の国」に該当するのではという疑問が湧いてきますが…
となると、難民は最初にギリシャで難民申請を行う必要があるはずです。
以前、ギリシャからイタリアに移動した難民を、イタリアは一方的にギリシャに送還していました。
しかし、欧州裁判所は、ギリシャの庇護制度と移民の収容状況をめぐる慢性的な問題について確かな証拠を認めて、「ダブリン協定」に沿ったギリシャへの送還を差し止めるという画期的な判決を出しました。
ということで、ハンガリーなどの他のシェンゲン圏の国に渡った難民は、ギリシャへの送還は一時停止されているという事です。
上記の件、ニュースなどの情報を元に、個人的な憶測を書きました。
基本的に間違っているかもしれませんし、状況も随時変わるような気がします。
いずれにしろ、この騒動は根本的な解決案が見つからないかぎり、当分続くと思っています。
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